『星の数ほど星に願いを』

今年に入って2度目の紀伊國屋サザンシアター。ブルー&スカイ作品はここ何年か小さな劇場で観ていたので大きいなーと思うけど、席の間隔を空けるなどのことを考えると大きなハコでよかった。まもなく開演というときにフェイスシールドを付けたブルー&スカイが舞台下手に現れ、この公演は全員「このようなもの」を付けて演じます、ちょっと反射で光るし気になる方もいるかもしれませんが慣れてください、と説明する。慣れてもらうためにちょっとの間、不気味なひとり芝居を披露して帰っていった。演者としても年々タフになってゆく彼である。
タフネスは出演者にもあまねく備わっていた。少し大きめの劇場で、客層もおそらく少し広がっている中で、ナンセンスの北風をあたたかい外套にくるんで届けてくれたと思う。物語がどうなったか誰もよくわからなかったと思うが、なにしろ登場人物たちの明るい笑顔と紙吹雪でたのしく幕を閉じた。主演・内田理央はその御姿も総動員で“明るく健気でちょっとおバカな銀行員”を全うしていたし*1、なんなら他の各人物も折々で主役のような輝きを見せていたと思う。田村健太郎なんかもう一人の主役だったと言っていい。犬の種類から特殊な稽古から全力のテニスプレーまで、主人公ボーイとして死角はなかった。大堀こういちも吉増裕士も頼もしかった。話がどうなったかよくわからないけど役者8人の技術に感心した、という客も意外といるのではないかしらと贔屓目で思っている。トレンド*2も取り入れていて、美しい職人の仕事だった。フェイスシールドは確かに時折光って役者の表情が見えづらいこともあったけれど、本作においては次から次に押し寄せる小さな異変に心を奪われていたのでほぼ気にならなかった。目と脳が自由に情報の取捨選択をできるというのも大きい。私たちは舞台の上に見えないものを見たり、見えるものを無視したり、わりとできるのだった。ちょっと強めに声を張っているように感じたところが何回かあって、もしかしたらそういう影響はあるかもしれないなと思いました。

*1:先輩に立ち向かうシーンで客席の笑いを鮮やかにかっさらっていた。到着の顔もよかったです。

*2:銀行。