JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』

初めて行く岡崎体育のワンマンがさいたまスーパーアリーナ。彼の目標の場所だ。私がそれを知ったのはつい最近ですけど、そういう特別なタイミングだからこそお邪魔させてもらってもいいかなって思ってチケットを取りました。歴史目撃したいし。さて、連れのいなかった私が席に着いてから開演までの暇な時間、「どういうことだ…?」「錯覚か…?」を交互に浮かべながら無言で眺めていたものがある。花道だ。激烈に細い。
事実、花道は細かった。岡崎体育が最初のMCで説明してくれた。その幅、平均台ほど。事前にメディアで話していたという「会場に仕掛けられた3つの面白いこと」のひとつでした。あとの2つはエノキ*1と藤木*2。3つのフシギのうち2つがセンターステージ周りのおふざけ、あと一つがフジキ。好きなことやりたいことやってますと彼は言って、センターステージに関しては終始ふざけにしか使わなかった。「Voice of Heart」の1番を歌いながらゆっくりと平均台花道を渡って辿り着き、2番で歌詞を忘れたと心の声を垂れ流しながら舞台ごとせり上がる。元の高さに戻ってくると今度は友人のペンギンパペット・てっくんのデビュー曲を聴かせながら、メインステージにに派手なMVを投影しながら、岡崎本人はただただパペットをフニフニやりつつ円いセンターステージの縁を歩いている。エノキ茸に沿って。なんの時間だ。一方でこの上なくアリーナらしい時間も演出してくれた。第2部冒頭はフライングで登場、第3部ではトロッコで客席を周回。何よりオープニング、ステージを天井から床まで覆った白い幕に浮かび上がるひとりの男のシルエット。が、デカい。「でけーな」と思ったけど、その影が力をこめるように縮こまったり、マイクを持つ手を揺すったりと動く。影のド真ん中にレーザーが「BASIN TECHNO」の文字をゆっくりと描く。これは煽られる。エンディングもそう。ダブルアンコールで「この曲は今日で封印」と語ったのち流れるイントロは「Explain」、ステージに大きく「岡崎体育」の文字。映画またはドラマ終盤、ラストで主題歌と題字がバーンて出るタイプのかっこいいやつや。ひとつの物語の終わり、新しい章の始まり。演出に満ちて夢のように完成されたステージは、それでいて等身大のお喋りを保っていた。御礼の言葉を繰り返し、夢を叶えていることを伝え、急に「どっから来たんですか」と客席に各地方を挙げて聞いてみたりした。冷静なようで時にフワッとしたようにも見える。マイクを握ればおなじみの曲の歌詞を差し替えて新しい呪いの言葉を放ち、ライブでずっとやらずに来たあの曲をついに歌い、誰も知らない初披露曲で客に掛け合いを求め、素敵な映像演出が溢れるスクリーンの下で映し出されぬままバキバキに踊っている。見かけを裏切るチートの敵キャラに置くのもめちゃくちゃ魅力的だけど、如何せんこの人の声は主人公のそれであると私は思う。主人公の声の持ち主。1回目のアンコールで歌ってくれた「エクレア」はアルバムの声ともさっきまでの声とも違っていて、大げさに言えば過去と未来がそこを行き交っていた。歌ずっと続けてほしい。君の冒険をこれからも見たいです。

*1:センターステージを縁取る白いフワフワが全てエノキ茸の束。

*2:直人。スタッフに扮して場内に居た。ステージに呼ばれ、爽やかに告知をして去っていきました。