いだてん

別れの駅のシーン、全てが素晴らしい。松尾スズキの円喬が根こそぎ持っていったけれども森山未來の美濃部君にもいろんなものを洗い流された。人に対してあんな目をする奴なんだ。どこか動物の親子を見ているような純粋さもありました。台詞も演出も私たちを置いてゆくことなく、ひとつひとつ大事な感情を届けてくれる。師匠があのとき高級な煙草を三箱もくれたことが、時を経たビートたけし志ん生の声で温かく振り返られる。あれは本領というものだろう。そんな諸々を超えて本当に本当に、きょうの松尾スズキ最高だった。こうして書きながらふと、あれもしかしてこのあともう出てこないのかな、と思い始めたら寂しくなってくる。最後だからベタもたけしも全部全部やってくれたのかな。うわー寂しくなってくる。必ずもう一度美濃部君の前に現れておくれよ。そして四三の前には二階堂トクヨ登場。寺島しのぶ、声から良い。二階堂さんの若い頃からのストーリーも見てみたくなるなあ。永井さんも可児さんも熱心にスポーツのこれからを考えている。嘉納先生も大森さんもだ。それでいてどうかと思う一面も見せてくれる。四三も勿論考えている。言い訳になってしまうからと反省点を自分の中だけに留めようとするところにも、良さと良くなさの両方あるんだよな。そういう意味でもやっぱり、彼が書き残す人でよかった。あと今日は吉岡天狗から吐かれた「俺も三十、テンテングーなどと叫んでる場合ではないんだ」ていう台詞も素晴らしかったですね。幾つだろうと基本的にはテンテングーとか叫ぶ場合なんかないですよ。