芸術祭十月大歌舞伎

十八世中村勘三郎の追善興行。正面から考えると今でも寂しくなるので今日の公演のことに気持ちを持ってって幕が開くのを待つ。夜の部に参りました。花道の向こう側後方の席で、歌舞伎座の花道の後ろの方ってってこんなに低くなってたのかーと驚きつつ、退場する役者ひとりずつほぼ真正面から見る贅沢さに浸った。その代わり花道にびっしり人が立つときは舞台が何も見えなくてちょっと笑った。なんだって楽しめるな。
助六が出る作品、多分初めて見る。日本のいろんなキャラクタのモデルになってるんじゃないかってすぐに思わされるような人物像で、見ながらふふ、と笑ってしまった。やんちゃで勝気で女にモテて、胸には仇討ち誓ってて。お母ちゃんには滅法弱くて、喧嘩の売り方かなり雑。昔の人も舞台の上にこういう人を見るのが好きだったんかな。豪気なのに品があって、あの振舞いもこの人ならいいかという気持ちにさせる、仁左衛門カッコよかったです。揚巻も相当強気でやっぱり笑ってしまう。気のない男に気がなさすぎる。いい性格してて七之助に似合う。登場から帯に海老背負ってて「エビ!」てなる。対する人々も髭の意休に始まって順番に笑わせてもらいました。登場人物が皆ひとつひとつの面白さのためにいて、お客さんが1個1個笑う。この場に集まった人のために尽くされていて、歴史としてはこっちが全然先だし規模も最強に豪華なんだけど個人的にはバラエティコントの地方会館での公開収録みたいだってちょっと思いました。歌舞伎座なんて豪華な会館もないわいな。楽しければ楽しいほどに嬉しくも寂しくもなる。勘九郎は白酒売りのお兄ちゃんと、「吉野山」では忠信狐と。ほんとうに、1本の太刀みたいに一糸乱れぬ真っ直ぐさと、その糸の縒りがほぐれるようなやわらかさを兼ね備えている。この道の男前の最前線走っているのでは。玉三郎見れて嬉しかったなあ。花道のすぐ横から凝視してしまった。静御前可愛らしかった。最初のだんまりは、何だかわからないで見始めちゃうと本当に何なんだってなりますね。面白い。ハイブリッド六方も凄く面白かった。