スリー・ビルボード

とにかく評判がいいと聞いて観にいった。たまたま年末にフランシス・マクドーマンド主演のドラマ『オリーヴ・キタリッジ』を一気に見たばかり*1で、再び彼女のゴリゴリつよウーマンぶりを見ることになりました。つーよい。なんか色々ものともしない。ただ、強いだけでもない。彼女に限らず登場人物は皆、強いだけでも弱いだけでもなく、いいだけでもだめなだけでもなかった*2。罪はあちこちにある。といって、だからいいよねとはならないし、傷ついたりはらわたが煮えたりする人はいる。そりゃそうだ。中盤であの火が視界に飛び込んできたときの多重なる「やってくれたな!」て気持ち忘れられない。画としても物語としても相当にショッキングで鮮やかで、私の「やってくれたな!」の大半はマーティン・マクドナーに向けられていたと思う。劇作。物事には猛烈に理由が多い。人間は時に思いがけない行動に出る。出るなあ。出るんだよ。やってくれるぜ劇作家。罪を憎んで人を憎まず、という言葉について時々考えるのですが、そうそう綺麗にいくもんじゃないよなとは思っていて、やっぱり人も憎いしなんなら袈裟まで憎くなるではないですか。もしかしてその逆が、まあ袈裟までは憎くないとか、罪がこの人の全てではないとかが、心に訪れることがあればと思う。きっかけは自分で作れなくていい、偶然でも些細でも誰かが手紙なり飲み物なりくれる世界であれ。ラストシーンの会話がまたとてもよかった。ほっとしたみたいなことも含めて。それと、これも凄くよかったこととして書いておきたいのが、こういう重さのある話でありながら、少し笑ってしまうところもちょくちょくあるのです。映画館の中がドッと笑い声にわくってことはないけど、音もないけど、くすっと笑う空気が感じられる。あの感じもとても心地よかった。映画館でこんなことあるんだ。
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*1:これも面白かったです。

*2:こういうとき、いいの反対に「悪い」じゃなく「だめ」のパターンもある日本語有難い。