ナイロン100℃『ちょっと、まってください』

ナイロンの新作だ。下北沢はもうすっかり寒い。今回は不条理喜劇で、ナンセンスコメディとは違うとのこと。
確かに違う。KERA作ナンセンス、最近だと『ヒトラー、最後の20000年』を観たけど、アレはもう何かに結びつけることをさせないというかとにかく遠くへ跳び続ける、こちらの頭を殴り続けるみたいな姿勢だった。今日のはすごくいろんなことに心が結びつく。それは登場人物の心の機微だったり、想起される別の何かだったり色々。そうあれはここと陸続きの世界、見たことのある景色。それを感じさせてから即座に形を変える。或いは形を消した後で頭の中に浮かぶ。証拠は観た人の中にしか残らない。貧しい妹役の水野美紀が家に入って歌聴いてるときの顔がよくて、何とも言えない顔だなーと思ってたら、そこからの展開そして支配力ったらなかった。乞食ファミリー側がそれぞれに内包してるもののこと考えるとどっちに歩いてもゾクゾクしちゃうのだけど、エミリーが発してるやつは切込隊長的かつ本能的なヤバさである。水野美紀ジャンヌダルク性ばりばり活きていた。大倉孝二はまずライオンみたいな見た目でよかったし、彼と絵葉書のくだりはもう全部いい。絵葉書周りの作劇の楽しさについてもっと話したい。話が逸れましたけどこういう大倉孝二は、どっちの面にせよ、ナイロン100℃ならではだと思うしまーモテちゃって仕方ないんではと思う。どっちの面にせよです。ナラデハ論を言い出すなら三宅弘城犬山イヌコみのすけ峯村リエも、以下略で劇団員は皆お家芸を繰り出している。おかえりナイロン100℃。その技巧の静かな空前絶後、もはや念力集団と呼びたいところです。金持ちファミリーが物語を運ぶ足の速さそれこそ超能力級でした。あっまだマギーのこと書いてない。マギーの演ったトマッソのことも一杯喋りたいです。あの人が誰だかを思うのも楽しい。