『8月の家族たち』

とても楽しみにしていた。昨日Bunkamuraからチケット購入をお勧めするメールが届き、「イヤついこないだアンタから買いましたやん」て言った。しかも発売日からまあまあ日が経ってたわりには結構いい席の。ありがとうございます。そういや去年はシアターコクーンに行っていないのではないか私は。反して今年は来月も再来月も来る。これからもどうぞよろしくね。
見ている間も見終わってからも味わうところが多くて幸せである。観にきてよかったな。壮絶な戦いやろくでもない過ちは多々あるのに、各人物が持ってる理由や愛やなんかがどこかで伝えられていてただの悪にならない。理由は目覚ましかけ忘れも含めて客観で見りゃ言い訳にもならないものだったりするし、愛は本当にアレです、愛だからって許されないものだということがあまりに多い。こないだドラマ見てるときにも考えていたことだけれど、愛ゆえと伝わった上で受け入れられないことがあったり、そうは言っても伝わっていない愛情がもっとあったり、するもんだな。そんなとき両方の気持ちまで伝えられるもんなんだな演劇やドラマって。とにかく夫婦や元夫婦や姉妹や親子など見ていて愛があるんだなと思う瞬間は何度もあるのだった。してみれば愛がないんだなと思うことはあまりなかったのだと思う。だからいいとは言ってない。でも在る。愛のほかには血のことも考えた。「家族ーぅ…!」よりも「血ーぃ…!」てなった。秋山菜津子演じる長女バーバラの苦悩が今日のお芝居の中では中央にあって、ずっと「バーバラどうするの」「バーバラどうしよう」「バーバラどうにかできるの」て思いながら見ていた。だからあのラストに「バーバラぁ!」と祈るような応援するような気持ちになる。これが「ご加護を」て気持ちなんだろうか。それでも母親のことを思えばショッキングであるのだけど、ずっとバーバラに問いかけながら見ていたから彼女が出した答えのために祈りたくなれた。あの日葬儀で母が願ったという三人の娘へのご加護を私も願うそんな幕引きだし、そうあるためにジョナを雇っていたであろう父親の、妻への思いもそこにある。8月の終わりを告げるような風と光。オクラホマを舞台にしたこの話が日本人の顔と言葉で演じられたことでますますの身近さがあり、言葉の応酬に含まれる繊細なおかしみを客席が共有してドンとウケるシーンもあるのがカッコよかった。麻実れいのバイオレットは歯に衣着せぬ言葉にもセンスがあったしヤバイ状態のときにも女のかわいさがあって絶妙な憎らしさ憎めなさだった。男たちも良かったんよなあ。ほんと長く味がします。