NODA・MAP『逆鱗』

10日ぶりの東京芸術劇場、本日はプレイハウス。場内に流れるロック音楽聞きながら、出演者のことを考えていた。前回観たNODA・MAPは三輪の話、今回は人魚の話。
人魚の恋。そうなら悲しすぎる。あの人魚たちは声を持たず言葉を持たず、でも心を持っていたとするなら。浅はかな空想のもとでいびつに生まれて、海の底に消えるだけ。けどそれを哀れむなら、お母さんから生まれて愛情を持って育てられた彼らなんてもう何だろう。要らないことだ。要らなかったことだ。これから二度と要らない。三段活用で覚えておこう。松たか子阿部サダヲがあの日々に聞かれなかった言葉を右から左から声にする。現代の演劇界における最上級のステレオだ。サラウンドだ。アンプリファーだ。わー。もう「わー」ですよそんなもん。観にいってきなさいよ。だが私は今日「わー」てなって勝手に数日引きずってみたいなもんですが、あの人たち毎日アレをやってるんである。毎日。眠れるのだろうか。瑛太の声も思い出してる。野田秀樹はあの日々にいた人たちの呼ぶ声を聞かせてくれる。海の中や電話の向こうに少し遅れて響いた余韻を私たちに思い出させる。あるいは覚えさせる。毎日呼ぶのは疲れるだろうな。でもそれを入れ替わり立ち替わり誰かが聞くんだな。満島真之介の澄んだ目の説得力とか、井上真央のあの役の名がザコという恐ろしさとか、何度も現れたり消えたりする銀粉蝶がその都度なんて言ってたかとか、あっちにいくまでの時間を大活躍で支えた池田成志のいろんな変なやつの話もしたいし、阿部サダヲが登場シーンから抜群に阿部サダヲだった楽しさも覚えていたい。あとあと、流れるような転換の美しさも覚えてたいしあの強烈な新素材の名前も知りたい。大忙し。